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アシスタントで来ただけなのに…!

第2章 共同生活と住み着く男の霊

腰掛けていた先生は立ち上がった。
私は荷物もあったので中には入らず、部屋の前でぺこりと頭を下げた。

「あの…今日からよろしくお願いしますっ」

「よろしく」

そう言って私の前に立つと、先生は荷物に視線を向けた。

「あ、えっと、荷物はどちらに置けばいいですか?」

こんなに荷物を抱えて、変だと思われたか。
気合い入れすぎと思われてたらどうしようと内心動揺したが、特になんとも思わなかったのか私を横切って先生は振り返った。

「案内しよう」

そう言ってスタスタと歩いていった先生の背後を追った。
案内されたのは、先生の部屋のすぐ隣の部屋だった。

「君の部屋はここだ」

ガチャっと扉を開くと、目に入ったのは天井を飾るシャンデリアだった。

「っわ…ここが私の部屋ですか?」

朱色の絨毯が敷かれ、ベッドはダブルベッド程の大きさがあり、クローゼットや机、様々な家具が揃った綺麗な部屋だった。
薄闇の玄関ホールやリビングと違い、別格に明るさがあり手入れの入った部屋だ。壁紙やフローリングをよく見ると、最近貼り替えた様にも感じる。

「えっと…綺麗なお部屋ですね?」

部屋を見渡して驚きを隠せずにいると、先生が口を開いた。

「君と住むためにリフォームをしておいた。他に必要な物があれば遠慮なく言ってくれ」

私と住むためということは、この数日でリフォームをしたということ?
若しくは私が応募した段階でリフォームをしたということだろうか。

何であれルイ先生が用意してくれた豪華な部屋に恐れ入った。
内装もそうだが、ここまで揃えられた家具もそれぞれアンティーク感があり上質だ。
そこらのホームセンターや家具屋では見ない代物だ。

この部屋を私一人が使うなんてあまりにも贅沢だ。
ホテルの一室なんかよりも豪華で広さも充分ある。

中に入り、シャンデリアの真下で部屋を見渡していると、部屋の外にいる先生が声をかけてきた。

「荷物を置いたら部屋に来てほしい。早速仕事の話をしたい」

「っあ…はいっ」

静かに扉が閉まり、一人部屋に取り残された。
私は即座にキャリーケースとバッグを置き、メモ帳やペンなど必要な物を持つと先生の後を追うように部屋を出た。

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