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アシスタントで来ただけなのに…!

第2章 共同生活と住み着く男の霊

森の中に足を踏み入れて、木漏れ日を見上げながら進む。
今日は珍しく子どもたちがいて、正面から歩いてきた。

「こんにちはー!」

元気いっぱいに挨拶する子どもたちにこんにちはっと返し、つられて笑顔になる。

この森は人が入り込めないような場所ではなく、緑が生い茂り、日差しも入って明るい雰囲気だ。
この先に、お化け屋敷のような建物があるとはとても思えない。

一体地元の人はどこまでこの森に入り込むのだろう?
流石にお化け屋敷がある場所は行ってはだめと言われているのだろうか。
だとしたら、メディアの前に顔を出したがらないルイ先生としてはかなりいい環境なのかもしれない。

暫く私は森の中を進み、見えてきた石畳の階段を上る。
よいしょっとキャリーケースを持ち上げて額に滲み出た汗を拭き取り、目の前の屋敷へ進んだ。

あんなに長閑で澄んだ空気が包まれていたはずの森が一変して薄暗さに包まれる。

ぶるっと体を震わせながら、顔や手が見えていた窓は見ないように頼りない音を出す門を潜り、扉をノックする。

ノックしても静寂な空気のまま、私は扉の前に立ち尽くす。
もう一度、ノックをしてみるが依然と誰かが出る気配はない。

「あの…ルイ先生…!」

インターホンも特にない玄関口で大きめの声を出すが、特に反応はなかった。
どうしたものかと首を捻らせながらも、ドアノブに手をかけると鍵があいていた。

最初に来た時もそうだが、とても不用心だ。
施錠もしないとは。
もしや何かあったのかと思い、恐る恐る顔を出して辺りを見渡すが前と同じで特に変わった様子は見られなかった。

「お邪魔します…」

ガチャっと扉を閉めて、屋敷に上がる。
少し寒気がする中、先生がいた部屋に向かい階段を上がった。

すると、珍しく二階の窓が開いていた。
換気をしているのだろうか?この前来た時は窓は開いてなかった。

ふと窓の外の景色を見てみると、薄暗いが自然豊かな森の様子がハッキリ見える。
眺めがよくてつい見入ってしまうが、ふと自分の手に持ったキャリーケースを見ていけないっと我に返る。

一部屋、二部屋と通り過ぎて先生の部屋の前に行くと相変わらず扉が少し開いていた。
隙間から中の様子を伺うと、ルイ先生がいた。

「ルイ先生…」

ゆっくり扉を開いて声をかけると、今日は一回で振り返ってくれた。

「あぁ、来たんだな」

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