テキストサイズ

アシスタントで来ただけなのに…!

第2章 共同生活と住み着く男の霊

先生の後を追いながらエントランスを通る。
彫刻を横切りながら目で追い、その大きさに少し驚いた。

上の方は流石に手が届かないのか、埃がかなり溜まっている。

残り二部屋ある内の、玄関から手前の部屋の前に立ち扉を開いた。

「ここは前の住人の寝室だ」

ガチャリと扉が開いた瞬間、異様な雰囲気が漂った。
途端に激しい頭痛がする。なんだか変な匂いもする。
空気が籠った匂いだろうか。いや、もっとなにか変な匂いだ。前の住人の匂いが残っているのだろうか。

私は頭を抑えて、その部屋を見渡す。

大きなベッド、ソファに暖炉、ドレッサーにクローゼット。普通の部屋だ。おそらくこの家具も前のままにしているのだろう、年代物のように思える。

私は天井のシャンデリアを見上げようとしたが、そのままよろけて倒れそうになった。

「…どうした?」

バランスを崩しそうになったが、なんとか耐えて姿勢を戻す。
先生は異変に気づいたのか、私の身体を支えて顔を覗かせた。

「何か感じるのか?」

「…っここ、変な感じします…先生は何も感じないんですか?」

私の身体を支えながら、先生は部屋を見渡すが何も感じなかったようで首を横に振った。

「何も感じない。生憎だが僕にはそういった力がない」

ホラーミステリーを描くルイ先生ではあるが、やはり霊感というのはないのか。
それもそうだ、私の周りにだって霊感がある人なんていなかった。

「そう、ですよね…」

ズキズキと痛む頭を抑えながら辺りを見渡すが、特に霊らしいものはいない。
しかし、異様なまでに違和感がある。一体なんなのだろう。この部屋に何かあったのだろうか。

ふと、窓から隙間風が入った。ギィと鈍い音を立てると部屋中が凍りついたように寒くなる。
私は身震いをして目を瞑った。なんだか目元も熱くて涙が出てきそうだ。

「大丈夫か?少し休むか?」

覗き込んだ先生の顔は心配そうにしていた。

「っ大丈夫です。残り一部屋ですよね?平気です」

できるだけ平然を保とうとしたが、この部屋の空気にのまれそうになる。
一刻も早くここから立ち去りたい。私は後退りして部屋から少し距離を取った。

先生は扉を閉めてくれて、次の部屋へ案内してくれた。
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ