
アシスタントで来ただけなのに…!
第1章 鬼才漫画家、市川ルイ
___数年後
「加奈子!郵便に入ってたわよ!」
まだ朝日が射すカーテンすら開けてない部屋の扉が開くと、仕事着姿の母が枕元に切手の貼られた茶封筒を置いた。
眠い目を擦って宛名を見るとデジタル文字で『須藤加奈子様』と書かれた封筒が。
後面の左下には先日応募した求人サイトの名前が。
「こ、れは…履歴書?」
ハッと起き上がって中を確認した。
丁寧に糊付けされてるのをビリビリと破り、布団や抱き枕で散乱したベッドの上に中に入ってる紙を全て出した。
中から出てきたのは二枚の紙。
ふと頭をよぎったのは、私が頭ひねらせて書いた履歴書ともう一枚はお詫びの書面。
「まさか、落ちた…?」
三つ折りにされた紙を一枚手に取り広げる。
すると驚いた、その紙は私の履歴書でもなければ書面ですらなかった。
地図だった。
「ちょっと加奈子、ぼけーとしてないで!なんて書いてるの?」
母は出勤時間が迫ってるからか、もしくは娘が就職できるのかが気になるのか、急かす様に寝起きの私の肩を揺さぶった。
「えっと…これは地図みたい」
如何にもはぁ?と言いたげに眉間に皺を寄せてもう一枚の紙を拾い上げた。
「…えーと、『この度は当サイトへ応募ありがとうございます。結果をご報告させて頂きます。』」
「…合格ですって!」
こんなに声を張り上げた母は初めてだ。
私は合格の言葉を聞いて大きくガッツポーズした。
「やったー!良かった、本当に良かった」
勢い余って母に抱きつこうとすると、「ちょっと待って」と母が書面に目をギラつかせた。
「ちょっと…待ちなさい。これ、おかしいわ」
そう言うと、書面を私に向けておかしいと言う文章を人差し指でなぞった。
「ほら、『ただいま募集してる漫画家、市川ルイ先生の元へアシスタントとして派遣します。以下、市川ルイ先生のご住所とアドレスです。別紙で地図も載せてます』」
「い、市川…ルイ!?あの市川ルイ!」
全身が震え上がった。あの市川ルイだ!震える体で更に大きくガッツポーズすると、「だから待ちなさいって!」と母に阻止された。
「加奈子!郵便に入ってたわよ!」
まだ朝日が射すカーテンすら開けてない部屋の扉が開くと、仕事着姿の母が枕元に切手の貼られた茶封筒を置いた。
眠い目を擦って宛名を見るとデジタル文字で『須藤加奈子様』と書かれた封筒が。
後面の左下には先日応募した求人サイトの名前が。
「こ、れは…履歴書?」
ハッと起き上がって中を確認した。
丁寧に糊付けされてるのをビリビリと破り、布団や抱き枕で散乱したベッドの上に中に入ってる紙を全て出した。
中から出てきたのは二枚の紙。
ふと頭をよぎったのは、私が頭ひねらせて書いた履歴書ともう一枚はお詫びの書面。
「まさか、落ちた…?」
三つ折りにされた紙を一枚手に取り広げる。
すると驚いた、その紙は私の履歴書でもなければ書面ですらなかった。
地図だった。
「ちょっと加奈子、ぼけーとしてないで!なんて書いてるの?」
母は出勤時間が迫ってるからか、もしくは娘が就職できるのかが気になるのか、急かす様に寝起きの私の肩を揺さぶった。
「えっと…これは地図みたい」
如何にもはぁ?と言いたげに眉間に皺を寄せてもう一枚の紙を拾い上げた。
「…えーと、『この度は当サイトへ応募ありがとうございます。結果をご報告させて頂きます。』」
「…合格ですって!」
こんなに声を張り上げた母は初めてだ。
私は合格の言葉を聞いて大きくガッツポーズした。
「やったー!良かった、本当に良かった」
勢い余って母に抱きつこうとすると、「ちょっと待って」と母が書面に目をギラつかせた。
「ちょっと…待ちなさい。これ、おかしいわ」
そう言うと、書面を私に向けておかしいと言う文章を人差し指でなぞった。
「ほら、『ただいま募集してる漫画家、市川ルイ先生の元へアシスタントとして派遣します。以下、市川ルイ先生のご住所とアドレスです。別紙で地図も載せてます』」
「い、市川…ルイ!?あの市川ルイ!」
全身が震え上がった。あの市川ルイだ!震える体で更に大きくガッツポーズすると、「だから待ちなさいって!」と母に阻止された。
