
アシスタントで来ただけなのに…!
第1章 鬼才漫画家、市川ルイ
市川ルイの名を知ったのはとあるミステリー雑誌だった。
当時の市川ルイは、鬼才とは呼ばれてはいなかったが今でも覚えてる。
欧米で発見された嘘か本当か分からないミイラの化石特集の次の頁、白黒文字なのに迫力を感じた市川ルイの名前。
贅沢に雑誌の頁一面に紹介をされていたわけでない。右下に小さく専門家のおすすめ書籍の中にあったのだ。
『衝撃の結末…!市川ルイが描く前代未聞のミステリー&ホラー!」
ミステリーにホラーを取り入れた漫画はそう沢山はない。
その作品が面白いのかは分からなかったが、私はその名前と雰囲気に惹かれてその頁を切り取った。
そして翌日、近くの書店で初めて市川ルイの漫画を買った。
どこにでもあるB6サイズの漫画なのに胸が踊った。この感覚は今でも忘れられない。
購入の際に包んでくれた茶封筒のようなカバーを取り外して、表紙に書かれた『市川ルイ』の名前を改めて見る。
もしかしたら、それが初めて私が市川ルイに触れた瞬間だったのかもしれない。
