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君の体温は義務だった

第4章 接続

そして、PCを立ち上げる。
画面には見慣れたHUG+の管理画面が表示された。


【本日のコンディション】

心拍数:正常

睡眠:5時間48分

活動量:標準

ストレス:やや高め

会話時間:13分

孤独率:42%


いつもの数字。
俺はそれを静かに眺める。

さっき牧野と交わした時間が、これからシステム内のどこかに加算されるのだろう。

でも。
今の牧野とのやり取りを、ただの「数十秒のデータログ」と呼んで片付けてしまうのは、何かが決定的に違う気がした。

牧野が俺の顔を見て「死んでる」と言った。
俺が「失礼だ」と返した。
牧野が笑った。
俺も笑った。

それだけだ。
でも、その「それだけ」の温度が。
昨日の夜からずっと考えていた疑問の答えを、妙に確固たるものにしてくれていた。

俺は管理画面のタブを閉じた。
そして、まっさらな新しい文書ファイルを立ち上げる。

タイトル欄に、迷いなく文字を打ち込んだ。

『HUG+孤独死予防システムにおける数値化の限界について』

黒いカーソルが、次の言葉を促すように点滅している。

昨日までなら。
きっと『接続率』という新しいロジックの定義から書き始めていたはずだ。

でも、今日は違う。

俺は一行目に、こう入力した。

「現在のHUG+は、利用者の状態を数値として把握することにおいて極めて優れている。」

一度、深く呼吸をして読み返す。
そして、その続きに指を走らせ始めた。

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