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君の体温は義務だった

第4章 接続

昼休み。
社員食堂は、いつもより少し混んでいた。

トレーを持ったまま、空いている席を探す。
窓際に一つ空きを見つけ、俺はそこに座った。

向かいの席では、二人の社員が昼飯を食べながら楽しそうに話している。

「昨日のドラマ見た?」
「見た見た。あれ絶対——」

声は聞こえるが、会話の内容までは入ってこない。
俺は味噌汁を一口飲んだ。熱い。

「……。」

ふと、朝メモ帳に書き残した言葉を思い出した。

接続率 = ?

箸を置き、ポケットからスマホを取り出す。
会社のデータベースには、利用者の接触履歴が蓄積されている。
もちろん個人情報へのアクセス権限は厳重に制限されているが、研究用に完全匿名化された統計データなら閲覧可能だ。

試しに、いくつかの変数を脳内で並べてみる。

家族との連絡頻度。
友人との交流頻度。
職場での会話時間。
HUGステーションの利用回数。
継続的な交流の有無。
そして——自発的なコミュニケーションの回数。

「……これなら。」

数字に落とし込めそうだった。

たとえば。
毎日連絡する相手がいる。
週に一度会う相手がいる。
困ったときに頼れる相手がいる。
将来の予定を共有している相手がいる。

それぞれに重みづけを行う。
接続数、接続頻度、継続性、自発性。
これらをアルゴリズムで組み合わせればいい。
孤独率という一次元的な数字より、ずっと人間性に迫れるはずだ。

「……たぶん。」

スマホのメモ帳に項目を書き出していく。
画面の上で、条件と数字が増えていく。

五分。
十分。
気づけば、味噌汁はすっかり冷めきっていた。

「……昼休み終わるぞ。」

自分に言い聞かせる。
それでも、画面をタップする手は止まらなかった。

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