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君の体温は義務だった

第4章 接続

◇◇◇

会社に着くと、いつものように端末を立ち上げる。
画面にはHUG+の利用状況が整然と並んでいた。

利用者数。
ハグ実施率。
健康状態。
ストレス推移。
孤独率。

いくつもの数字がきれいに並んでいる。
綺麗すぎるくらいに。

「……。」

昨日の夜のことを思い出す。

俺の昨日の会話時間は、十三分。
システム上の判定は『安定』。
でも、あの駅の階段での数秒間は、どの数字にもカウントされていない。

だったら。
会話時間という指標は、本当に人と人の『つながり』を表しているんだろうか。

カーソルを止め、思考を巡らせる。

たとえば。
仕事で機械的に三十分話した相手と。
久しぶりに会った友人と、心を通わせて五分だけ話した時間。
重みも意味もまったく違う。

もっと極端に言えば。
毎日一時間誰かと話していても、誰にも心を開いていない人間。
めったに話さないけれど、たった一人だけ、何かあった時に心から頼れる存在がいる人間。

一体、どちらが本当の意味で『孤独』なんだろう。

「……。」

指が止まった。

画面の隅に表示されている、【孤独率:42%】の文字。
俺はその数字を見つめる。

昨日の自分。
そして、今日の自分。
どちらもデータの上では、同じような数字だ。

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