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第7弾『薔薇と百合の奇跡』

第2章 『百合の館LILY』

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「美玖さんが、初めてウチの課に来た時から、なんとなくね…」

 わたしは派遣社員…
 約三ヶ月前から、派遣勤務している。

 そしてこの悠里第二営業課長…
 通称『鉄の女』と呼ばれる程に、営業成績抜群で、しかも東大卒の高学歴…
 そして、凛とした美女。

 しかし、周りに、プライベート等を一切見せない、笑わない女――

 わたしは、この才女ぶりな理知的さと、その完璧な美しさに、一目惚れしてしまった…

 だけど、しがない二流大卒のイチ派遣社員と、遥か雲の上の存在である、完璧な営業課長との接点は、ほぼ無く…
 会話ですら、まともに交わした事も無かった。

 だけど、毎朝のコーヒーを給仕する際や、簡単な書類の受け渡し等の、ほんの僅かに、一瞬、目が合った際に…
 その同性愛者特有の不思議な力が、ビビっと、わたしの心に閃き、囁いてくるのである。

 もしかしたら、悠里課長は同じかも…と。

 そう、ほんの一瞬、僅かに合った悠里課長の目が…
 わたしの心に、囁いてくるの――

 だから、わたしは夜毎、悠里課長を想い、忍び、自ら慰め…
 もうひとつの仕事である、このお店で…
 悠里課長の代わりの相手を求め、彷徨っていたのだが――

 悠里課長の代わりなんて見つからず…
 日毎に、求める想いが募るばかりで…
 そして、とうとう…
 一か八かの作戦に打って出たのだ。

 わたしのここの源氏名は…
『MIKU』
 そしてこのお店の名前の意味は、同類であれば間違いなく分かる。

 それに、何より、わたしの派遣契約が間も無く切れる…
 万が一ダメでも、失うモノは無い。

 それに、意味が通じなければ、ただの、誰かの悪戯で済む…

 わたしは、こっそり、悠里課長のバッグにお店の名刺を忍ばせ…
 退社したのだ――

「うふ…
 あまりに幼稚過ぎて…笑っちゃったわ…」

「え…」

 わたしは、ときめいてしまう…
 
 だって…

『鉄の女』が、優しく、美しい目をして笑っているのだから…

 あの、笑わない女が――


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