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第7弾『薔薇と百合の奇跡』

第2章 『百合の館LILY』

 4

 わたしは、意を決した――

「ゆ、悠里課長っ」

「え…」

「で、出ましょうっ」

「……」
 悠里課長は、小さく、頷く。

「さ、さあっ」

「……っ」
 わたしは、握っていた手を引き、お店の外に悠里課長を連れ出した。

「………」

「………」

 わたし達はお店を出て、肩を並べ立ち…
 目の前の公園を挟んで建ち並ぶ、色彩かに煌めくラブホテル街を見つめ…
 わたしは黙って、手を引き、歩き出す。

「あ……」

 すると悠里課長は、小さく声を…

「え?」

「あ、う、うん…」
 それは、揺れた、戸惑いの声音…
 そして、下を向き…

「え、あ、あの……」
 小さな声…

「え?」

「あ、わ、わたし…あ、あのぉ…」
 更に、小さな声…

「は、初めて……なの……」
 消え入る様な、小さな声で…

「え?」

「あ、女同士が…は、初めて…で……」
 震える声音…

「………」

「い、いや、こ、こういうの……も……」
 まるで、顔から冷や汗が流れ落ちているみたい…

「…こういうの…って?」

「あ、だから…ら、ラブホも…」

「え?」

「こ、こういうの…も…」

 それは…
『鉄の女』のまさかな、告白であった――

 あの完璧な女が、小さく震えている…

 わたしの女心が…
 いや、母性愛という慈愛の愛情が、一気に昂ぶってきた。

 そう、これは、まさかの奇跡――

「悠里課長、大丈夫…わたしに任せて…」

「え、あ…う、うん…」
 悠里課長は、ゆっくりと顔を上げ、わたしを見てくる。

 その目は、さっきまでの彼女ではなく…
 不安と、戸惑いと、そして、期待に昂ぶり、濡れたオンナの、揺れる目の光――

「ゆ、悠里課長ぉ、大丈夫…」

「あ、ゆ、悠里…で、いい…わ……」

「うん、ゆ、悠里さん、わたしに任せて…」
 わたしは、ギュッと手を握り、一歩を踏み出す。

「あ、で、でも…」

「え?」

「し、下着が…」

 まさかの『鉄の女』の戸惑いに揺れる目が…

 わたしの欲情の昂ぶりに、焔を灯す――

「え、下着…大丈夫よ…
 どうせ直ぐに、脱いじゃうんだから…」

 百合心は、乙女の心でもあり…
 鉄の仮面をゆっくりと剥がしてもゆく――



 百合揺れて
 貴女の瞳が
 揺れて濡れ
 昂ぶる欲情
 愛花ひらく

       終わり――


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