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第7弾『薔薇と百合の奇跡』

第2章 『百合の館LILY』

 1

「いらっしゃいま、あ…」
 わたしは、お店に入ってきたお客様の顔を見て、思わず絶句してしまう…

「やっぱりね…」

「あ、ゆ、悠里課長…」

 そう、彼女は、わたしの派遣先のファンド系会社の営業課長。

「あ…」

「こういう…ことなのね……」

「あ、は、はい…」

 ここは、新宿二丁目、通称『ゲイの街』
 そしてこの店の名前は『百合の館LILY』
 女同士の、出会いを求める者たちが集まるバーである。

 ここでお客様は、店員スタッフであるオンナの子、もしくはお客様同士が、気に入り、話を交わし、そして…

 ネオン煌めく街へ、連れ出せるお店――

 こういうことなのね…

 それは、今日の終業間際に…
 わたしがこっそり、悠里課長のバッグに、ここの名刺を忍ばせたということ――

 そしてそれは、一か八かの…
 誘いのメッセージ。

 確か、わたしがこっそりとバッグに、名刺を忍ばせた事は、誰にも見られてはいない…

「や、やっぱり…って?」
 わたしは、思わず呟いた。

「………」
 すると悠里課長は、ジッとわたしを見つめ…

「…美玖さん…て…わかる…から……」
 その美しい、艶々な唇を小さく開き、そう呟いた。

「え、わかる?」

「ええ…」
 悠里課長は、逸らずに見つめ…
 そう、頷く。

 わかるから…

 それは、禁断で、本来タブーな同性愛者同士の…
 お互いの心が、閃き、惹き付け、通じ合う、説明できない不思議な力。

 特に、お互いが好み同士ならば、尚更、惹き合うみたい――


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