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蜜会…春の嵐

第1章 春の嵐

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「今日、田中も来るってよ…」

 えっ…
 その美千代の言葉に、わたしの心の中に小さな風が吹きはじめてきた。

「そ、そうなんだぁ……」
「うん、少し遅れるみたいだけど来るって、さっき幹事の鈴木が言ってたわ」

「ふぅん…」
 わたしは、然り気無く、そして無関心を装い、そんな軽い返事をする。

 だが、果たして田中は来るのか?
 それが今夜最大で、一番の関心事であった。

 田中颯太(そうた)…
 それは、わたしの青春時代のそのものを表すオトコの名前。

 高校入学から卒業まで付き合った、いや、高校時代の全てといえる程に愛したオトコ…
 今夜、本当は…
 彼に逢いたくて、再会したくて、同窓会に参加したのだから。

 その彼、田中颯太が来る…
 心の中の小さな風は、やや強く、舞いはじめてきた。

「美春と田中、ラブラブだったもんねぇ」

「え、あ、うん…」

「確かさぁ、成人式の同窓会は留学中だからって来なかったのよねぇ…」

「あ、そ、そうだっけ…」
 当時、彼の不参加にかなり落胆したのだが…
 そんな想いなんて…
 と、まるで関心がなかったかの様に応える。

 だけど本当は…
 この美千代には、ううん、周りの同級生達にも、そして、田中本人にも…
 そんなわたしの昂ぶる本心は決して知られたくはなかったから、そんな風に軽く装ったのだ。

 だが、ついに、高校卒業以来である22年越しの待望の再会である。

 そして…
「あっ、来たわっ」
 わたしはその美千代の言葉に振り返った。

「あ…」
 そこには、彼が居た。

 そして目が合った瞬間…

 一気に昂ぶり…

 心の風が舞い上がり…

 身体が熱くなってきた。
 


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