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蜜会…春の嵐

第1章 春の嵐

 3

「あっ、来たわっ」
 美千代の言葉に高鳴り、そして彼女の視線を追って振り返る。

「あ…」
 そこには、約22年ぶりの彼の姿があった。

「おっ」
 彼、田中颯太は、わたしと美千代に気付き、感嘆の声を漏らし、満面の笑みを浮かべ、小さく左手を上げる。

 目が合った瞬間、一気に昂ぶり、心の風が舞い踊り、身体が熱くなった……気がした。
 
「うわぁ、美春に美千代だよなぁ…」
 わたしは、そんな颯太の言葉に反応できない。

「おおっ、田中ぁ、久しぶりねぇ」
 美千代はすかさずそう返し…
「ぁ…ひ、久しぶ…り……」 
 わたしはようやく、声を振り絞る。

「うん、なんか…変わらないなぁ……」
 そんな颯太の感慨深い言葉と視線に一気に心が震え…
 あの高校時代の、お互い激しく昂ぶったあの日々が脳裏いっぱいに駆け巡り…
 心の風がまるで嵐のように渦を巻き始めてきた。

 そして、ズキンッ…
 と、一瞬、奥が熱く疼いた。
 
「もうすっかりおばさんよぉ」
 美千代はそんな颯太の言葉に応え…
「もう子供も二人もいるしさぁ…」
 テンション高めに話していた。

「お、うん、そうなんだ、子供二人かぁ…
 あ、み、美春は?……」
 すると、わたしに目を向け、訊いてくる。

「え…あ…う、うん……」
 すっかり揺らいでしまい、咄嗟に応えられない。

「ほら、まだ秘密よっ」
 と、傍らの美千代が、そうフォローしてくれ…

「え、秘密って?」
「ほらぁ、同窓会はこれからなんだからさぁ…
 久しぶりの再会を噛みしめて、ゆっくり訊きなよぉ…」
 と、わたしと颯太の二人の背中を押しながら、会場の中へと導いてくれたのだ。

 そう…
 わたしは久しぶりの再会にすっかり舞い上がり…
 甦った青春の記憶と共に、心が激しく騒めいてきていた。
 
「さぁ、二人はここに座って」
 二人の過去を良く知り、わたしの昂ぶりに気付いている美千代が気遣い、導いてくれる。

「ほら、ここでゆっくり二人で、昔に還りなさいよ」
 そう優しく言ってくる。

 昔に還る…
 それは、あの貪り合う様に愛し合った昔の、甘く、激しい甦る想い。

 そして…

 青い春の騒めきと、昂ぶり………。


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