自殺紳士
第18章 Vol.18:昏い家
鋭い声が左手から聞こえた。
どきんと心臓が震え、手先と足先がさっと冷たくなった。
声のする方を見ると、
母が、息を切らせて立っていた。
「何時だと思ってるの!?
その人は誰?何してるの?
あれだけ心配かけるなって言ったのに!」
私はすっかり身がすくんでしまっていた。
母がぐいと私の方に手を伸ばす。
でも、その手が私に届くことはなかった。
「あんた!離しなさいよ!」
男性が、母の手を掴んでいたのだ。
さっきまで私に向けていた少し優しげな目とは
明らかに違う面持ちだった。
「智花さんと仰るんですね
そしてあなたは智花さんの母親ですね?」
男性は、じっと、母の目を見つめていた。
それは静かだけれども、なにか強い目・・・そんなふうに私には見えた。
「智花さんは『なんで生きてるんだろう』って言いました」
「はあ?何言ってるの。あんた」
「どうしていいかわからない、とも」
「智花さんの話をもう少し聞いてみてはくれませんか?」
その言葉に、
母がひゅっと息を詰めた。
多分、想定外のことだったのだと思う。
だって、母にここまで真っ直ぐに意見をした人は、
私の知る限りではいなかったから。
でも、母が怯んだのはほんの一瞬だった。
「あんたに何が分かるっての!?
智花に何が必要か、一番わかってるのはこの私よ」
ああ・・・まただ
自分が一番よくわかってると言う。
「生きる理由なんて今考えることじゃない
そんなのはきちんと大学に入ってそれから考えればいいのよ!」
選択肢を全て奪われて
私が何かを選ぼうとすると、それを否定する
「智花に変なこと吹き込まないでちょうだい!」
私を助けてくれようとした人を
切り離していく・・・
「智花だって、お母さんが言ってることが正しいって分かるでしょ?」
いつも正しいのは自分だけで
「この子はね、ぼやっとしてるから私がちゃんとしないと
いけないのよ!」
あなたは自分のことを分かってない。
何もできない人間だと。
「黙れ!!」
どきんと心臓が震え、手先と足先がさっと冷たくなった。
声のする方を見ると、
母が、息を切らせて立っていた。
「何時だと思ってるの!?
その人は誰?何してるの?
あれだけ心配かけるなって言ったのに!」
私はすっかり身がすくんでしまっていた。
母がぐいと私の方に手を伸ばす。
でも、その手が私に届くことはなかった。
「あんた!離しなさいよ!」
男性が、母の手を掴んでいたのだ。
さっきまで私に向けていた少し優しげな目とは
明らかに違う面持ちだった。
「智花さんと仰るんですね
そしてあなたは智花さんの母親ですね?」
男性は、じっと、母の目を見つめていた。
それは静かだけれども、なにか強い目・・・そんなふうに私には見えた。
「智花さんは『なんで生きてるんだろう』って言いました」
「はあ?何言ってるの。あんた」
「どうしていいかわからない、とも」
「智花さんの話をもう少し聞いてみてはくれませんか?」
その言葉に、
母がひゅっと息を詰めた。
多分、想定外のことだったのだと思う。
だって、母にここまで真っ直ぐに意見をした人は、
私の知る限りではいなかったから。
でも、母が怯んだのはほんの一瞬だった。
「あんたに何が分かるっての!?
智花に何が必要か、一番わかってるのはこの私よ」
ああ・・・まただ
自分が一番よくわかってると言う。
「生きる理由なんて今考えることじゃない
そんなのはきちんと大学に入ってそれから考えればいいのよ!」
選択肢を全て奪われて
私が何かを選ぼうとすると、それを否定する
「智花に変なこと吹き込まないでちょうだい!」
私を助けてくれようとした人を
切り離していく・・・
「智花だって、お母さんが言ってることが正しいって分かるでしょ?」
いつも正しいのは自分だけで
「この子はね、ぼやっとしてるから私がちゃんとしないと
いけないのよ!」
あなたは自分のことを分かってない。
何もできない人間だと。
「黙れ!!」
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える