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paradise lost

第1章 overture

「あ、待ってください」
俺はやれやれとため息を吐いて看板が指す方向に向かう。さっきの奴は慌てて歩き出した。
「ぼ、僕は木野 悠理って言います……君は…?」
「俺は滝澤 煌だ」
どこか抜けているところがある男子生徒は悠里と言うらしい。悠理はかなり小柄で、しかもかなりの女顔で男らしさがなく、可愛がられやすいタイプとも、揶揄われやすいタイプとも言える。実際俺も出会って数分も経っていないのに悠理のことを揶揄ってみたいと思っている。
「………滝澤くん、何か失礼な事を考えていませんか?」
「…………気のせいだ、悠理くん…さっさと行くぞ」
トロい癖に勘が良い悠理に俺は顔を痙攣らせた。俺は強引に話を逸らして新入生の待機所の音楽ホールみ向かう。
「うわぁ…凄い…」
悠理が思わず感嘆の声を漏らす。名門音楽科の高校と言うだけあって本格的な音響設備があるホール、外部の人を招き入れてコンサートを開いたりするため、ホール自体もかなり広い。俺と悠理が音楽ホールの広さに圧倒されていると生徒会の人が音楽ホールに入って来た。
「そろそろ入学式が始まります、新入生は付いて来てください」
生徒会の人が新入生を誘導する。俺と悠理も生徒会の人達に付いて行く。体育館に案内された俺と悠理、俺は一番端のイスに座り、悠理も俺の隣のイスに座った。いよいよ入学式が始まる。俺は面倒そうな、悠理は緊張した面持ちで校長や来賓の挨拶を聞いていた。
(退屈だな…)
真面目な悠理と違い、俺はすでに退屈を感じていた。不意に校長と目が合った。退屈そうな俺を見て、校長は一瞬だけにやりと笑った。それを見た俺は心の中でこっそりため息を吐いた。昨日も色々あったせいで睡魔が俺を襲い始めた頃………事件が起こった。
「新入生代表挨拶…新入生代表……玉木 蒼くん、どうぞ」
生徒会副会長に名前を呼ばれた奴を体育館にいる生徒、教師、来賓がほぼ全員が息を呑んだ。程良く伸ばしたサラサラの黒髪に白い肌、中性的でキレイな顔、見つめられると吸い込まれそうなほど澄んでいる青い瞳に誰もが見惚れてしまう。
「凄いキレイな人…」
悠理も思わずと言った感じで漏らす。誰もが彼に衝撃を受ける中、一番衝撃を受けたのが…。

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