
一万回目のプロポーズ
第12章 思い出
「…あと20分か」
俊司は腕時計を確認した
『今日は遅刻出来ないね』
「まーな」
すると突然、俊司はあたしの手を取った
『?』
そのままどこへ行くのかと黙ってついて行くと
最初の展望台へやって来た
学校のみんなに見つからないよう、コソコソと端へ移動する
途中で知り合いを見かけると、物陰に隠れたりした
『クス』
「ん?」
『そういえば保育園の時も、忍者ごっこしてたなぁって思って』
「ああ、そんなこともしてたな」
俊司も、案外あっさり思い出してくれた
俊司は忍者一号で
あたしは忍者二号
町中を、誰にも見つからないように探検したりしたんだ
「よく覚えてたな」
『あれ、大好きだったし。一号殿』
「クスッ、俺も大好きじゃったぞ、二号殿?」
たぶん、何より、俊司とだったから
大好きだったんだろうな…
