一万回目のプロポーズ
第14章 かませ!
満足げで、どこか優しい笑みを浮かべる俊司と
ただただ腑に落ちず、お互いに睨み合っているあたしと千尋。
ほんの数秒のことが、何分にも何時間にも感じた。
そして、その沈黙を破ったのは、やはり俊司だった
「俺が、悪かったんだよな。ふつーーーに」
あたしも千尋も、目をまん丸にさせた
千尋に向って、深く頭を下げている俊司が
そこにいた
「ごめんな、千尋」
唖然とした顔をして
みるみるうちに
何かを悟ったように
千尋の顔が崩れていった
呪文を唱えられたら、自分と彼とを繋いでいた魔法が解けてしまう
そんなことに気づいたような
千尋の顔
「俺がもっとはっきりしていれば
お前も、明奈も、辛い思いしなくて済んだんだよな」
「まっ…」
「千尋が俺のこと、すげぇ好きでいてくれてたの、本当に分かってた
けど、やっぱそれでも…」
「まってよ!やだよぉ!!!」
千尋は襲いかからんとばかりに俊司に抱きつこうとした
それを止めたのは俊司の手だった
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