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もしも、君を愛せたならば

第3章 ないものねだり

乗り換え1回、計1時間。
唯一落ち着くのが
この帰りの電車だ。

ケータイ片手に足を組み
ボーッと過ごす。
仕事帰りのサラリーマン、
学校帰りの学生、
これから出勤ぽい
お水風の若い子。

時々人間観察なんかして
ただ、揺られるだけ。
この時間が、
無駄なようで
妙に好き。

すると、
隣に座ってきた、
女性の二人組の会話に
耳が奪われた。

“あたしさ~、
N課の吉岡さん
マジで好きになっちゃった~!!!
頭も良くてお金持ち~!
しかもエッチが
めっちゃ上手なの!
ヤバくない?”

“マジでマジで??
でも、結婚してるんでしょ~?
やめとけってぇ~!
後が怖いよ~(笑)”

“奥さんいたって
関係ないってばぁ。
別に取る気も無いし。
お互いよけりゃ
いいんじゃないのぉ?
だいたい、
最初に誘ってきたのは
むこうだしぃ”

・・・。
おいおい、
電車の中だってのに
エッチがどうとか
やめてくんない?

そう思いながらも
何食わぬ顔で
聞き耳をたてる私がいた。

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