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もしも、君を愛せたならば

第3章 ないものねだり

午前中は主に打ち合わせで、
午後はそれぞれの業務をこなし
定時の17:00になれば
私は席を立つ。

「お疲れ様ですッ!!
 お先に失礼しまーす」

「お疲れ様~!!」

定時とともに退社しなければ
子供のお迎えに間に合わない。



独身時代は遊び優先で
残業が死ぬほど嫌だったけど

今はもっと残業して、
納得いくまで仕事をしたい。

やっと仕事の面白さが
味わえるようになったのに、
自分はここまでと割り切って
切り上げるしかない。

でなければ、
家庭と仕事の両立は出来ないのだ。

結婚して、出産して、仕事に復帰して、
うまく割り切れない頃は
ずいぶん悩んだけれど
そのバランスのとりかたにも
もうすっかり慣れた。
周囲もそれをわかってくれる。


恵まれている、
その一言だ。

定時を過ぎれば仕事を忘れ
一目散に駅へ向かい
いつもの列車に飛び込むように乗る。

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