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もしも、君を愛せたならば

第10章 ガラム

〝夏帆、灰皿ある?〟

〝あ、キッチンの窓のところ〟


灰皿には吸い殻が数本あった。

たまに来る亜矢と、
少し前に分かれた元彼のだ。
どっちも、同じ銘柄だった。

和也は、鋭く突っ込んだ。

〝おや~?
 男のタバコ、発見~〟

〝ちっ、違うよ!
 それ、亜矢だから!!〟

〝まぁそーゆーコトに
 しといてやるよ〟

そう言いながら、
ギュっとタバコの火を消した。

ヤキモチを
一瞬でも焼かない和也に
私はもっと近づきたくなった。

何とかして
自分の方を向かせたかった。

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