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もしも、君を愛せたならば

第28章 幸せ

私は、和也の向かいで
夕飯を食べながら、
今までにない幸せな気分だった。


〝あーお前アレだぞ!
 アイツらに言うなよ!?〟


〝え?亜矢?
 なんでー!?〟


〝俺は、
 あんま言いたくねーの。
 どーせアイツら、
 俺の事バカにすっから!!〟




亜矢の事が羨ましい、
そう言っていた私の身に
思っても無い出来事だった。

好きな人に、そう言われて
答えはイエスしかなくって、
私は一生この人と一緒だと思うと
それ以外の幸せなんて、
無いように思えた。

それくらい、私は和也に惚れていた。


和也は、私の作った夕飯を
ひとつ残らず食べ終えて、
いつもどおり、手を合わせて
ごちそうさま、と言った。

そんな、何気ない言動にも
心はいちいち嬉しくなって、
20歳の私は、「その日」を夢見た。

それだけで幸せだった。

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