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もしも、君を愛せたならば

第3章 ないものねだり

降りる駅が
やってくる、
というところで
ケータイが震えた。

素早く
画面にタッチする。

???

子供が通う
保育園から電話だ。

周りの目を気にして
小声で出る。

〝・・・ハイ!!〟

〝もしもし、OO保育園の担任の大西です!ごめんね~お母さんこんな時間に。電車の中よね!〟

〝先生、いつもお世話になってます。もう少しでお迎えに行けますけど、何かありました??〟

〝実は、遥斗くんが夕方からお熱出しちゃってねぇ、もう来るだろうと思ってたんだけど、念のため連絡入れさせてもらったのよ~〟

〝あ、もうすぐなんで!
急ぎますね!失礼しまーす!!〟


あぁ、熱かぁ・・・。
明日は大事な会議だってのに。

待ち受けの子供の画像を
無意識に眺めていたら

二人組の女の子のひとりが
私の待ち受け画面を
横目で見ている気がした。


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