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もしも、君を愛せたならば

第3章 ないものねだり

小声でやりとりしたけれど
隣の二人組には
しっかりと
聞こえていたはず。

〝OO~OOです。
 お降りのお客様は
 お忘れ物にご注意ください〟

私は立ち上がり
扉が開くまで
吊革につかまった。

そして二人に目をやると
二人と目があった。

なんだ、
この人、子供が居るんだ。

そんな表情をしている。

そして
そそくさと俯くと
それぞれに
ケータイを取り出した。

私は、
さっきまでの
悔しい気持ちから
一変して

優越感のような
感覚を覚えた。

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