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お前らめんどくせえから結婚しろ

第2章 勘違いして逃げる女と勘違いされても仕方のない言動を取る男


行き先を伝えた所で、静かに車は那奈の職場へと向かい始める。黒瀬を含めこの全ての状況がおかしい、と思いつつも受け入れるしかない現実を受け入れていると、特に車は不審な動きを見せず、空から陸用に切り替わり、職場近くのコインパーキングに入っていく。

あ、マジで送ってくれたんだ。
そう思ってお礼をしようと思った瞬間だった。黒瀬は自分の人差し指を己の上唇に押し当ててニヤッと笑う。

「何...ですか?」

「対価。」

「え?....は?」

「何?タダで乗れると思ったわけ?」

「勝手に来ておいて対価も何も無いのでは?」

「魔性の自覚無し?困るわぁ。もういいよ。」

「いや何言って、ひぃ、うんぅ」

会話を1人完結させた黒瀬が、強引に唇を重ねてくる。ファーストキスとは違って、最初から舌先を絡めてくる黒瀬から逃れようとするも最後は無遠慮に口内を蹂躙されてしまう。

捕食者みたいな目...。怖いけど様になってるのが腹立つし、こんなキス如きで私...

那奈は両足を無意識にすり寄せた。

「ンッ....アッ、やめてぇ、今、朝ッ」

「煽ったのそっちだろ?」

銀色の糸をひいて離れていった黒瀬の唇が今度は那奈の耳元に移動する。獲物を仕留める際の蛇のような目はキスをしながらも、彼女の誘うような言動をしっかりと追っていた。



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