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会ってみる?

第2章 当日

動物園の中に入るため、受付でチケットを2枚買って1枚を田中に渡した。田中は、

「ありがとうございます!」

と言った。

田中は、身長が高く細身で美人である。ただ、そういう体型の人に多いと思うが胸は小さい。胸の膨らみはほとんど確認できない。

その体型と、サバサバした雰囲気から感じるキツメの性格…、そのため田中には初対面の印象としてあまり色気を感じない。

僕は、中に入る門をくぐりながら、何か話題を振らないといけないと思い、

「最初のデートがこんな小さな動物園ですみません。」

と言うと、田中は、

「私、動物園って自分では来ないので、いい機会だと思っています。」

と言った。

入って直ぐのところには、鳥類がいろいろいる。

鷹やダチョウ、あと、ペンギン…。その他にも細かい鳥は結構いる。

僕は、それらの鳥を見ながら、できるだけ気不味い雰囲気を解消しようと、

「田中さん、スーツ姿お似合いですね!すみません、僕の希望を聞いてもらって…!」

と言った。田中は、

「仕事で着ているものです。私もスーツは好きなので…。動物園にスーツはちょっと場違いだと思う人もいると思いますが、私はそういうの気にしません。」

と言った。僕は、

「僕の希望を聞いてもらえてうれしいです。ところで、田中さんは、お仕事何されているんですか?」

と聞いた。僕は、基本的に田中の情報をほとんど知らない。田中は、

「葬祭業です。セレモニーホールで働いています!」

と言った。ぼくは、今までセレモニーホールに行ったことはない。僕の祖父母の葬儀は、お寺でやったからだ。

僕は、

「大変そうなお仕事ですね!」

と言うと、田中は、

「もう慣れたので、そこまで大変だとは思わないですし、いろんな人と接するのでそれなりにやりがいはありますよ!」

と言った。僕は、

「そうですか!」

と返事をした。

田中の、この仕事がデキる雰囲気から、やっぱり仕事はやりがいがあるんだろうなと思った。


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