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会ってみる?

第2章 当日

彼女の前まで来ると、僕は、

「おはようございます!◯◯(サイトのニックネーム)さんですか?遅れて申し訳ありません!初めて来る場所だったので、思ったより時間がかかってしまって…!」

と頭を下げ、遠慮がちに笑いながら言うと、彼女は、

「はい!◯◯です!私も初めて来る場所でしたが、比較的遠くでよく知らないところに行くときは、30分くらい早く着くくらいを目安に家を出ます!」

と、ピシャリっと言った。表情には出さないが、遅れたことを怒っているように感じる。30分も前に着いているとすると、僕の車が駐車場に入ったのが10時5分、それから車を停めて、降りて、ここまで歩いて来るまでに3分くらいはかかったかもしれない。つまり、38分くらい待たせたということだ。

彼女の車は、たぶん入り口付近にあるこの白い軽自動車だ。彼女にしてみれば、遅れて来て尚且つあんな遠い所に車を停めたことにも理解できないのかもしれない。

僕は、もう一度、

「遅れてすみませんでした!」

と頭を下げた。すると彼女は、

「あ、いえ、気にしないでください!私が早く来すぎたんですから…!」

と言う割には、表情は硬く、口調も事務的に感じる。

怒っているとみて間違いない。

僕は、LINEのやり取りから、このようなタイプの人だということはある程度想像できていたのに、それに対応していなかったことを後悔した。僕としては、たかが5分程度で(実際は8分くらい)という気持ちもあるがもう少し早く出れば良かっただけの話だ。

最初から気不味い雰囲気にしてしまった。

すると彼女は、

「私、田中と言います!よろしくお願いします!」

と事務的に言い、頭を下げた。僕は、

「あ、僕は、佐藤と言います!よろしくお願いします!」

と慌てて言った。田中は、

「それでは早速行きましょうか?」

と言って、先に歩いて行き、カバンから財布を取り出そうとしていたので、僕は小走りで先回りし、

「僕が払います!」

と言った。田中は、

「ありがとうございます!」

と言って、少し表情を和ませた。










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