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幻想遊園地

第3章 第3話:福音書

案内された部屋はがらんとしていた。

正面の窓からはまあるい昇りかけの月が見える。
部屋はがらんとしているけれども、中央には台座があり、そこにはガラスのケースが被せられた一冊の本が展示されていた。

「それは?」

ボクが尋ねると、台座の脇に立ってボクを待っていたツクミがにこりと笑った。

「こちらは福音書です」
「福音・・・て?」
「良い知らせ、という意味です」

良い知らせが書いてある本?ということ?

よほどあからさまにボクの顔に疑問符が見えたのだろう。ツクミがふふっと含み笑いをした。彼女の月の光のような銀の瞳がゆらりと揺れた気がした。

「こちらは魔法の福音書でございます。
 開けばアトラクションの開始・・・さあ、ケースを開きますので、お手にとってご覧ください。これがどういう人によってしたためられたのか、どういう思いで残されたのか・・・きっと、貴方様なら、読み解けると思いますよ?」

ツクミがヨイショと重たそうにガラスケースを外す。貴重そうな古びた本を両手で抱えるように持つと、ボクに手渡してきた。

プンと、古い紙の匂いがした。

さあ、と促されて、ボクはそのページを開くと、眩い光が溢れ出していった。
物語が始まる。
この『世界』のもうひとつの・・・物語。

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