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HEAVEN~時を超えて~

第8章 記憶の彼方の契り

「可愛い女の子ですよ~」



『ぁ…ぁ・・・ハァ…ハァ・・』


真は言葉にならない声をあげて嗚咽をもらした



『マコト・・・よく頑張ったね。

ありがとう・・・・・ありがとう』


僕は両手で目を覆う真の隣にしゃがんで
真の頭を何度も撫でた



「はい、お母さん~」


そうこうしてるうちに助産師が
おくるみに包んだ新生児を真の前に連れてきてくれた



『ぁ・・・』


真は精一杯手を伸ばす・・・顔をしていながら
小さく首を振って断っていた


『マコト・・・』


体力が残っていない

僕も助産師もその反応をそう判断して
少し苦笑いしようとした時に



スッ・・・


真は僅かに手を挙げて僕を指差した




『一番・・・楽しみに、、待っててくれた・・

彼に・・・・先に・・・・・』




そのやさしさと、奥ゆかしさ一杯の
一瞬の小さな声に


助産師も涙を少し隠して頷き
子どもを僕の方に向ける



「はい・・・お父さん、どうぞ」




『ありがとう…ございます』




僕は生まれたばかりの小さなその命を
大事にそっと両手で抱えた

そしてすぐさま真の目線に連れて行く

真の目の前に
生まれたばかりの我が子の顔が良く見えるように。


『マコト・・・ほら、、、可愛いよ』


『・・・』


真は息も絶え絶えなままだけれど

目を細めて、唇をうごかして口角を上げ
その微笑みの表情をみせ続けた



『クス・・・マコトの寝顔にそっくり』


『・・・』


声をあげずに、うん、うん、と真はただ頷く



『❝お母さん❞が恋しいんじゃない?

少しだけ、、抱っこしてみたら?』



僕はゆっくりと真のそばに子どもを近づける



『・・・』


真はゆっくりと頷いて
僕を差したままだった手を動かそうとしていた時





・・・・・カクッ




『?・・』



伸ばしかけた小さな手が
力なくベットの脇にダランと下がる



ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・



けたたましい異音が響いて

真の心電図を示すディスプレイの波形が

一本になっていた

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