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HEAVEN~時を超えて~

第8章 記憶の彼方の契り

『何買ったのマコト?そろそろ教えてよ』

『ふふ・・・後でね』


病院をあとにした僕と真は
真の経過が順調だった事も後押しになって

店の並ぶビルの中で手を繋いで歩いていた


『だから気が早いってばカイキ』


ベビー服や真の服を物色する僕に
呆れながら笑う真は・・・



『ふふふ…もぅいいってばカイキ、、』





ニヤリ・・・




『・・・。‥‥』



『ねぇ?カイキ…』



幸せそうに、、ニコニコ笑ってくれている真には
なかなかに・・・感じ取れないみたいなんだ


まぁ、普通そうなのだろうな
仕方がない



『・・・・』


景色の一部にいる、どこにでもいるような中年男が
すれ違いざまに真を

まだ殆ど目立たないおなかを、無意識に
大事そうに手で支えて微笑む真を

真の体を…上から下まで

舐め回すような汚らわしい目でみたのを
僕は感じ取ってしまうんだ



ほんの一瞬の空気や気配のようなものなんだ



だけどね


僕みたいな・・・奇妙な人間はさ


変な❝記憶(モノ)❞をもつ者はさ

代わりに・・・また変な❝能力(モノ)❞も…併せ持つんだよ





コイツは・・・彼女に、二度と近づけてはならない





お前のような下郎が

彼女を目に入れることなど言語道断




『マコト…疲れたでしょ?少し休んでから帰ろう』


真をカフェに入れ、絶対にひとりにならないよう
なるべく多くの人目に付く席に残して店を出る


『カイキ・・・』


『忘れ物した。すぐ戻るから、そこ動かないでね?』





コツコツコツ・・・・



不快な残像を放つ中年男のニオイを嗅ぎ分けるように辿り、スッと・・・後ろにつく



『貴様が・・・その淀んだ目で彼女を見る事など

彼女を凌辱したも同じ罪だ・・・』



『?』



スッ…


人気のない裏手の階段に差し掛かる所で
すれ違うように、男に足を掛けて
僕は何事もなかったように立ち去る



ガタタタタタッ…



『・・・・』

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