
微熱に疼く慕情
第12章 【盲目的な愛が辿る一途】
———3年後
いくつか転職を繰り返して、資格を取り、後に知り合った年下の女の子と共同でネイルサロンを起業する事になった
理由あってその子とシェアハウスしている
SNSも活用して集客し、フランチャイズではあるけれどようやく軌道に乗ってきた感じ
指名もされるようになって充実した日々を送っている
あれから、風の便りで隼人さんも結婚したと聞いた
女の子が生まれたとか何とか
谷川さんも転職したみたい
大智はED治療に励みながらも彼女らしき人と歩いているのを見かけた事がある
樹くんは自分のお店持てたみたいだし
旺志郎くんは救急科に異動になって慌ただしい生活を送っていたがもうベテラン勢に並んでいるとか
明島さんと黒崎さんはその後の詳細は知らない
知らない方が良いのかも
「橘さんって顔出ししないんですか?SNSとか出したらめっちゃバズると思うんですけど」
とか直接、お客様からお声を頂く
「いや、技術で勝負したいんで」とドヤ顔するんですが
顔を出せない理由は明らかだ
昔の黒歴史な恋愛沙汰が芋づる式に世に出てしまうのだけは避けたい
私1人だけの会社じゃないしね
それに、顔が出てしまえば居場所を教えてるようなものだし
やっと自分の居場所を見つけれたこの小さな島で再出発を選んだんだから
勿論、出張でネイリスト派遣もしているから各地回ったりするんだけどね
「一華先ぱ〜い、何が楽しくて女2人、クリスマスに派遣されてんですかね?」
「あはは、だね?無事に仕事終わったら祝杯あげようね」
「そもそも何で一華先輩みたいな美人が独り身なんだ?出逢った時から不思議だったんですよね〜」
「よし、美樹ちゃんにはお酒の席で私の黒歴史を話してあげよう」
「え?めちゃくちゃ気になる…頑張ってお客様笑顔にします!」
「うん、その意気だ」
