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微熱に疼く慕情

第12章 【盲目的な愛が辿る一途】











「それでは宜しくお願いします」



最後の荷物を詰め込んで、ようやくこのマンションともおさらばだ
此処に居たら、皆、来ちゃうから
スマホも替えて連絡手段を断ち切った
最後の別れと感謝の気持ちはメッセージで伝えたけど
読んでくれたかどうかは不明



そして、会社も辞めた
すぐに辞表を出して有給消化中に引っ越しも決めて引き払った
最後はあんな終わり方だったから
恨まれてなければ良いな…と何処までも自分が可愛い私



「俺の会社に来い」



明島さんは私にそう言ってきた
秘書としてついて欲しいと
私、そんな器じゃないです
有り難い話だけど、
仕事は何処でも見つけられるので不安はない
それに、あなたの会社に入れば
あの人とも離れられないじゃないですか
右腕に抱えてるでしょ



“俺から離れる事は許さない”
あなたにそう支配されている事に悦びを感じていた
組み敷かれるのが好きだった
時には力尽くで捻じ伏せるやり方にゾクゾクしてたの
ずっと愛されてもみたかった
あなたに出逢えて、私は180度人生が変わったんだよ
愛した事に後悔はないです
寧ろ、綺麗な思い出として残しておきたい



でもあなたは許さないでしょうね



許して欲しいなんて言わない
誰にでも言える事だけど
これほどまでにズルい女、強かな女、悪い女を
どうか忘れないで……



最期の最期まで頭の隅に浮かぶような女でありたい
我儘ばかりでごめんね
突然、目の前から居なくなった事もごめんなさい



耐えきれなくてごめんなさい……














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