テキストサイズ

微熱に疼く慕情

第12章 【盲目的な愛が辿る一途】






「次の恋愛は、勇樹くんと始めてみても良いかな?」


「えっ!!」


「ちょっと、声大きいよ、抑えて」


「ご、ごめんなさい」


「え、それってどっちのごめんなさい?私、早速フラれた?」


「違います違います、本当ですか?俺、もう片想い終わって良いんですか?」


「片想いしてたいならこのままで居るよ?」


「いやいやいや、本当に俺で良いんすか?俺、めちゃくちゃ愛が重いですけど」


「ん、それの何がいけないの?良いじゃん」


「あぁ、もう!マジで一華さん大好きです!」


「コラ、声が大きいってば」



はぁー、美樹ちゃんに報告したら同じくらいのボリュームで喜んでくれそう
まんまと戦略にハマりましたねって
7つも下だよ?
毎日のように好き好き言われたら警戒も弱まるというか
結局、好きなタイプなんだと思う



「俺を、最後の男にしてください」


「んふふ、私も縛っちゃって良いのかな?」


「良いっす!俺、一華さんなら縛られたいです!」


「ククク……だから声大きいって」


「あ、すみません」



ずっと興奮してて、ずっと真っ赤なのが面白い
まずは、宜しくね、勇樹くん……
「そっちも飲みたい」と言ってドリンクを取ってくれた勇樹くんにチュッと触れるだけのキス
「え…」って固まってる



「あぁ、ごめん、我慢出来なかったや」



そう言って笑った私に
キミは2度目の恋をしたんだって、後になって教えてくれたね



月日が経って夫婦になり、親になり、
苦労がないと言えば嘘になるけど
私なりに確かな幸せを噛み締めているよ
いつか何処かで会えた時に
ますます綺麗になった私を見せたい気持ちも
あるから日々努力もしている



今ではメディアでも取り上げてもらえるようになった私は、女性実業家の端くれとして頑張ってるよ



ねぇ、皆、見てる?
何処かで見ていてくれると嬉しいな
同じ未来には立てなかったけど
それぞれが前を向いて、それぞれの道で
幸せを掴んでいると良いな



なんて、自分勝手で都合の良い願いだね







「一華……」



子どもと手を繋いで歩く背後から名前を呼ばれた



振り返るとほら………
あの頃と同じ時が蘇ってくる



ただ違う事と言えば、お互いに違う生き方に辿り着いたという事———









〈完〉
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ