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微熱に疼く慕情

第12章 【盲目的な愛が辿る一途】






目を閉じれば波の音が一斉に広がる
砂浜でパラソルの下
水着に身を包んだ私はナンパしてきた男性2人組に
「NO」と伝えていたらドリンクを持った勇樹くんが
追い払ってくれた



溜まった有給とお店の連休を利用して
1人弾丸旅行!と行きたかったのだけど
当たり前のようについてきた勇樹くん
1人はダメです、危険です、と言い張ってさ
もう32だよ?



「ほら、言わんこっちゃない」とブツブツ言ってる
旅の出逢いを利用して……とも思ってたんだけどな
ワンナイト的な?
やっぱりその方が楽かなって
真剣な恋愛とか向いてないし、やり方もよくわかんない



「そんなに1人が良かったですか?」


「へ?」


「僕、ついてきたの怒ってます?」



強引にグイグイ来るかと思いきや
時々こうやって自信をなくしてる
押したり引いたりしてるの?可愛いね
クスッ…と笑って「背中塗って」と日焼け止めクリームを渡す



ドキドキしてる?
背中の紐も解いて塗り終わったらまた結んでね



「あぁ、クソ、見んな、一華さんを見るんじゃないよ」



え?周りが見てるの阻止してるの?
アハハ…と声出してと笑っちゃった



「怒ってないよ、可愛いって思ってる」



そう言っただけで耳まで真っ赤
パラソルの下でくっついて座る



「ナンパされてて焦った?」


「当たり前です、僕が居て良かったでしょ?」


「うん、ありがとう、一緒に来てくれて……良い思い出にしようね」


「は、はい…」



打ち返す波の心地良い音と潮風の匂い
海を越えてやって来たビーチで
コロンと勇樹くんの肩に頭を預けた



「私と居ると苦労するかもよ?」


「え、苦労って何ですか?食べれますか?幸せでしかないですよ、俺の片想い期間舐めないでください」


「俺って言うんだ?いつも僕なのに」


「ちょっと、男を出してみました」


「アハハ」





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