
微熱に疼く慕情
第12章 【盲目的な愛が辿る一途】
1人ずつ、またしどろもどろになりながらも隼人さんに紹介していく
紹介される側もどんな顔して良いかわからないよね
樹くんや旺志郎くん、谷川さんも言いたい事があるはずなのに黙って様子を見ている
「で?彼氏の紹介は?」
「……山岸隼人さん、私の恋人です」
「まぁ、それぞれの言い分もあるだろうけど、一華から言う事はあるか?皆に」
そんな事を言われて上手く息が吸えたのかよくわからない
此処で何を話しても言い訳になるだろうし、納得してもらえるとは到底思わない
だったら、最初から非を認めて謝罪するべきだと思った
座り直してまずは隼人さんに土下座した
「ごめんなさい…!結婚出来ない理由の1つです……此処に居る人達と関係を持ってます、それは、今も……本当にごめんなさい」
言葉も出ない感じか、床に額を擦り付けても罪の重さは計り知れない
「え?は?えっ?……何それ」
皆の方にも向いて頭を下げた
「ごめんなさい…!皆さんの気持ちも踏みにじって本当に許されない事をしました、ズルズルと今まで…ごめんなさい」
泣いて許されるわけじゃない
なのに泣くのは卑怯だよね
誰も私の涙を信用出来るはずもないのに
ぐっと飲み込んで頭を下げ続けた
「一華さん、もう良いから…」
最初に手を差し伸べてくれたのはまだ傷が浅い旺志郎くんだった
肩を持たれて「頭上げて」と諭される
乱れた髪も直してくれて
「僕は、一華さんの気持ちを尊重する」とまで言ってくれる
「ぼ、僕も……悪いのは一華さんだけじゃないと思うし」と立ち上がる樹くん
2人に擁護される私が気に食わないんだろう、隼人さんは目を逸らしてきた
