
微熱に疼く慕情
第12章 【盲目的な愛が辿る一途】
「会社にコレ配達お願いしたからめちゃくちゃ目立っちゃった」
「え?コレって、薔薇の花束を!?」
「うん、買いに行く時間なんてないし、初めて頼んだからドキドキしたけどマジで恥ずかしかった、後輩たちや同僚にも冷やかされました」
「アハハハ…!いや〜見たかったかも、花束受け取ってサインしてる隼人さん…ククク」
「笑い事じゃないよ、明日もめちゃくちゃイジられそう」
「何て冷やかされたんですか?」
「え?」
「ん?」
ソファーで話していると急に真顔になって
「予約しても良い?」と聞いてきた
予約?ってなったけど、床に跪いた時にピンときてしまう
「一華のこれからの人生、予約させてください」
指輪の入ったリングケースを目の前でパカッと開けて差し出してくる
え、ちょ、プロポーズ?
めっちゃルームウェアなんですけど
「え?何?どういう事?そういう事?」
「まだ全然、仮の約束でも良い……その気になるまで待つから、残りの人生はやっぱり俺と過ごして欲しいです、俺を選んで欲しい」
付き合う事はOKした
でも結婚は、自分にその気がない事は私なりに伝えてきたはずなんだけどな……
同棲すら渋っていたのに、それでも私が良いの?
大智の件だって、本当はどう思ってるんだろう
時々3Pがしたい、だなんて…その口が言ったんだよ?
そういう関係を続けたまま一緒になろうとしてる?
リングケースを持つ手が震えていたから両手で包み込んだ
「ありがとう、隼人さんの気持ち、一旦受け取るね……私に結婚願望がない事を知っていながら言うのは本当に勇気がいったよね、それでも言えるモチベーションは何処から来るんだろうって思うし、本当、私には勿体ないくらい隼人さんは素敵な人だよ……いつか、本当にそうなれば良いねって思う……うん」
「じゃ、予約……して良いんだね?」
「予約?ふふふ、予約か、うん、そうだね」
