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微熱に疼く慕情

第12章 【盲目的な愛が辿る一途】






人がたくさん居るから恥ずかしそう
私も、自分からするとは思わなかった
やめて、その赤面、伝染するから



もう一度「ありがとう」と言ったら優しい笑顔が返って来る
本当なら、サヨナラしててもおかしくなかった
偶然の出逢いだったし、いつでも終われる関係性だったはずなのにね
少しずつシミが広がる
繊維の奥まで重なって、濃く染みていく



久々に花瓶とか出しちゃった
青い薔薇の花言葉は“夢叶う”“奇跡”“神の祝福”とネットに書いてあったけど、1本だとまた意味が違ってくるみたい
1本の青い薔薇の花言葉は……



「一目惚れ……私にはあなたしかいない……か」



1人で声に出して言うと我ながらかなり恥ずかしい
ちゃんと調べて贈ってきたのだろうか
調べるよね、旺志郎くんだもん
今日はこのまま一輪挿しで飾っておいて
すぐにでも専門店でドライフラワーにして長期保存出来るようにしようと色々ネットで調べてみた
クリスタルフラワーとか可愛いよね
お花ってあまり貰う機会ないけど
貰ったら貰ったで嬉しいもんなんだ……






翌日もインターホンが鳴って、ドアを開けると
今度は真っ赤な薔薇の花束



え…?今年はお花を貰う年なの?というほど続くのね
私の誕生日を知るもう1人



「お誕生日おめでとう、一華」


「ありがとう、隼人さん」



花束を受け取ってからのキス
ほぼ半同棲生活していた頃もあったけど
最近は仕事が忙しくてそれぞれの家で過ごしていた



「ごめんな、本当はもっと豪華にお祝いしたかったのに」


「良いの、気にしないで、会えただけで嬉しい」


「時間も遅くなっちゃってごめん」


「謝ってばっかの誕生日は嫌だな、お祝いしてくれるんでしょ?」


「うん、たくさんおめでとうって言う」


「それと?たくさんキスしてくれるの?」


「キスだけで良いの?」


「うーん、嫌だな」


「俺も嫌だ」



目を合わせて笑う
残業確定だったのにこんな花束まで用意してくれたんだもん
本当は伝えるはずもなかったけど
何度も聞いてくるから観念したんだった




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