
微熱に疼く慕情
第11章 【普遍的な真理】
キスされる前に間一髪、掌で阻止した
「よく考えて…?こんな女にうつつ抜かしてて良いんですか?幸せな結婚とか考えてるならもうこの関係は終わりにした方が良いです、谷川さんの事をちゃんと愛してくれる人は他にたくさん居ますから、私に堕ちちゃダメ…」
ほら、また忠告してあげたのに
私の手を退かして強引にキスしてくる
「無理だよ、それに橘さんはこんな女じゃない、俺だって何度も立ち止まったよ、考えたよ、でも……離れられないから困ってるんじゃないか、今日で終わりとか悲しい事言うなよ、ワンナイトにしたら一生引きずるぞ……橘さんを越える人に出逢えなくなる」
諦めの悪い男はどちらかと言えば好き
いや、大好物
もっと沼れば良いって正直思ってる
ぐちゃぐちゃになって私なしでは生きていけなくなれば良いって……
恐ろしい女でしょ?
「逆に脅されてます?私……」
「いや、そうじゃなくて」
「んふふ、わかってます、本当に私で良いんですか?寂しい思いさせちゃうかもですよ?山岸課長にもよく冷たいって言われたりするので」
「プライベートはちゃんと分けて行動するから、社外で会ってくれれば……勿論、口外はしない、秘密は守るよ」
「覚えてます?誰かと関係を持ってるとか悪い噂が社内に広まれば全て白紙に戻して終わるって話」
「覚えてるよ、だから俺も真剣だよ」
「何で、そんな危ない橋渡るんですか……私の事は良い思い出にして次に行けば良いのに」
「行けないって言ってるだろ、俺は橘さんとが良い」
「私……っ」
平気で浮気しますよ?って言おうとしたのに
唇塞がれちゃった
強引なキスも悪くない
選んだのはそっち
なら、堕ちるところまで堕ちて頂きましょうか……
きっともう、手加減出来ないかもです
本当バカだな………
私も、谷川さんも………
