
微熱に疼く慕情
第10章 【囚われない愛と持続的な関係】
「もうイっちゃったの?早いなぁ〜、で、昨日は誰と居たの?」
「んんっ……大智…と、だってばぁ…っ」
「往生際が悪いねぇ……まぁ、今回はそういう事にしておいてあげる、次は、ないよ?」
「ねぇ、ちょっと待って、信じてくれないの?信用ないまま勝手に終わらせないでよ、もう信頼崩れちゃってんなら」
「別れないよ?別れる選択肢はない、一華には与えないから」
ぶわっと嘘みたいに涙腺が壊れる
ローターを当てる手が離れた
スイッチも切ってしまう
泣き出した私を見て、素に戻ったの?
「別れるとか言ってないじゃん……隼人さんはいつも先に言う……私の話、最後まで聞いてくれないよね」
「違う、ごめん、こんな風に泣かせたい訳じゃないんだ」
「私は別れたくないよ…?ちゃんとお互いが納得いくまで話し合おうって思ってる……なのにすぐ別れる別れないの話を出してくるから、そういうとこ……ヤダ」
涙で声も上擦っちゃう
我ながら良い演技
でも、演技していくうちに憑依しちゃうのか
本当に止まらなくなっちゃうんだよね
動揺させたもん勝ち
主導権は、取られたら取り返せば良い
「そう……だよな、ごめん」
「ダメ、外さないで」
「え…?」
ヘタレだね、もう終わりなんて勿体ない
やるなら最後まで貫いてよ
外してこようとした手を止めた
もうさっきみたいな気迫は先輩からは感じ取れない
すっかり萎えちゃって、怒ってたくせに
「今回は私が悪い、隼人さんにこんな事をさせたのも私、ごめんなさい……大智が言ってた通り、時々会って愚痴を聞いたりお酒飲んだりしてるのも事実、でも隼人さんが嫌な思いするなら会わない」
「いや、そこまでは……」
「本当に?だって大智、まだ私に未練あるよ?3Pとかもすんなり受け入れてきたじゃん」
「そうだけど……」
