
微熱に疼く慕情
第10章 【囚われない愛と持続的な関係】
「何でそんな事聞くの?」
「やましい事がないなら言えるでしょ?」
「昨日は……大智と居た、ごめん」
「泊まったの?」
「……うん」
「本当に?」
「電話、掛けて確かめて良いよ」
本当は帰るつもりだったけど旺志郎くんにハマってしまった私はギリギリまで一緒に居た
という事は昨日、此処に来たんだ?
会う約束はしていなかった
時間に都合がついて彼女の家に寄ってみた…といったところか
今日は隼人さんの都合でお昼から会う事になっていたはず
前倒ししてまで確かめたかった?
ごめん、本当の事は言えない……
「何で俺に隠れて会うの……」
「ごめんなさい」
「彼氏は俺なのに……」
ごもっともだ……私に弁解の余地はない
だからコレでお仕置きなんだね?
やっと状況が把握出来てきた
「嫌いになった?だからこんな事するの?」
「嫌いだからじゃない、愛してるからこそ、他の男に目を向けた一華にお仕置きするんだよ」
隼人さんを誰がこんな風にしたの、と聞かれたら
それは間違いなく私だ
新たな快楽を植え付けても結局、人は孤独に負けてしまう
独占欲を駆り立てて思わぬ行動に繋げてしまうのだ
「ごめんなさい……」
「怖い?」
「………っ」
まさか隼人さんの鞄から、ローターや電マが出てくるとは思わなかった
あ、コレ、マジでエンドレスなやつかも
「ちょっと待ってて」と誰かに電話をかける様子
スピーカーにしたから声だけでわかった
始まってしまった、嫉妬から生まれるお仕置きタイム
「昨日、一華とシた?」
電話に出た大智に第一声がコレ………
私にはシーっと人差し指を立てて黙るようジェスチャー
何の事だかサッパリの大智だと思う
ただならぬ空気は伝わっているのだろうか
向こうも黙ってる
