
微熱に疼く慕情
第10章 【囚われない愛と持続的な関係】
あれ………私、何で、こんな格好してるんだっけ?
気持ち良く寝てたはずだったんだけどな
朝早くにインターホンで起こされて……
ボーッとしたまま出たから正直あまり覚えてなくて
モニターに映る人は確認したはず
(あ……もう来たんだ)って思ったの、確か
それから今に至るまで、どうしてこうなったのか
ダイニングテーブルの椅子に座らされて……
というか、足はM字に開いたまま縛られてて
両手は背もたれの後ろでクロス
手枷でしっかり固定されちゃってる
ん…………なんで?
それに、服、どうした?
いつの間に脱がされてるんだろ
下着姿で……もしかして今から拷問とか?
バスルームからはシャワーの音が消えた
ウトウトしてたけどしっかりと目が冴える
バスタオルで髪を拭きながらこっちに向かってきた人
「ねぇ、コレ、何?」
「ん?たまにはこんなのも良いでしょ?」
「え…?今日は映画館行くんじゃなかった?」
「うん、でも予定変更」
「それでコレ?」
「うん」
満面の笑みを浮かべられて何も言えなくなる
付き合うしかないのか、と諦めモード
足元に来て目線を合わせてきた
「あれ、動揺してる?こういうの、嫌?」
「……何か、あった?」
「え?」
「珍しいな、と思って……今までこういうのなかったじゃん」
「何かあったのは一華の方じゃないの?」
「え…?」
「昨日の夜、何処に居たの?」
あぁ、とうとう来たか……といった感じ
問い詰められる系ね
いつ来てもおかしくないとは思っていた
私の詰めも甘かった証拠だし
覚悟を持って行動してる感じだね
私の次のセリフが怖くて仕方ないんじゃない?
動揺してるのは、隼人さんの方だよ
