微熱に疼く慕情
第10章 【囚われない愛と持続的な関係】
「え、移動しない?職場の人とか通ったりしないの?」
「うぅ、今言いたい…っ」
「んふふ、わかった」
今を逃したらちゃんと言えなかったりするのかな
駆け引きが不器用なところも含めての旺志郎くんだもんね
なんて……
「……好きです!」
「え?」
「一華さんの事、ずっと好きです!」
「お、おぉ……?」
「今は頼りないかも知れないけど、一華さんの理想の彼氏…いや、恋人になれるように頑張るから……その、僕をそういう対象で見てくれたらな…って」
シンプルイズベスト…ってやつね
回りくどいより全然良いよ
とうとう、言われちゃったか……
最大のモテ期、どうしよう……
「あぁ……ごめん、私、彼氏居るの」
「えっ……!?」
勝手だよね、本当、この女、最悪最低
彼氏以外にもその他大勢が居る事も全部正直に伝えた
旺志郎くんがどんな対応するのか興味があったから
勿論、軽蔑される覚悟だったし
離れていく事も受け入れる覚悟で腹は括ってる
暗い車内でも顔面蒼白してるのがわかるくらい
頭の中パニックだよね
複数を同時に愛せちゃう人間が目の前に存在してるんだから
それも好きになった女がそうだった事実突きつけられて、処理しきれないよね
一旦、持ち帰る?
持ち帰るわけないか
「他の人たちはそれを知ってて、関係を続けてるの?」
「まぁ、大体は……」
理解しようと思わなくて良いよ
理解されるはずがないし、自分自身も特殊だってわかってる
普通は軽蔑されるんだよ
ヤリマンだって思われて近付いてくる男も居たしね
キミはそうならないと思うから、決断するなら今だよ
ごめんね、身勝手でだらしなくて、一緒に居るときっと傷付けちゃう
だから早く気付いて……
まだ戻れるでしょう?
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