
微熱に疼く慕情
第9章 【歪んだ世界でも凛として…】
呼ばれたらすぐ行くよ
それは変わらないんだと思う
でもね、今の現状を全て変えろなんて
もう出来ないよ……多分
「一華、ただいま」
「ん〜〜おかえりぃ〜〜」
「あはは、ただいまぁ〜〜」
スーツケースごと持って真っ先に来てくれた人
私から抱き着いて迎え入れる
久しぶりの出張だったから疲れてるでしょ?
それなのにキスが止まらないよ
「はぁ、抱きたい…」
「え、もう?シャワーは?」
グイッと硬くなったのを当ててくる
「あぁ……ま、いっか」と家に上がらせ寝室に直行ね
キスを受け止めながら後ろ向きに進む
ベッドにそのまま押し倒されて上着を脱ぎ捨てた
再びキスしてネクタイを外してくれている間に私がシャツのボタンを外していく
「一華に会いたくて仕方なかったよ」
「私も……隼人さんの帰る場所は此処だからね」
「一華…っ」
毎日連絡はしてたけど、会えなかった時間を取り戻すかのように抱かれた
彼氏なのに必死なんだよ
私をずっと愉しませてくれる
一緒に居ると落ち着く
沈黙が全然苦じゃない人
私を愛してやまない人の一人で
自ら手放すなんて出来るはずがないじゃない
私だって躾けていったんだよ
私という人間のトリセツとセックスの相性
全部、合格してきた人ばかりなんだ
だから………
「隼人さん……大好き」
「俺も……愛してる」
私からは嫌いになれない
追い出せない
ずっとずっと、傍に居させたい
彼氏だけじゃないよ
他の人たちも全員
私には必要で、欠けて良い人は一人も居ないの
だから変わらず愛していく
いつしか、自分自身も欲していたんだと思う
明島さんを言い訳にして
自らこんな世界に浸って抜けられなくなったのかもね……
「一華……もう1回、良い?」
「今度は私が上……」
