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微熱に疼く慕情

第9章 【歪んだ世界でも凛として…】






「信じて、良いの?」


「ああ、信じてくれ」



抱き着いて泣いた
声を上げて泣いたの
この腕の中に居て良いんだ……
やっと、辿り着けたの?



涙を拭い、落ち着いた頃



「さっきの返事は?OKって事で良いのか?」


「あ……でも、私、お付き合いしてる人が」


「好きな人が出来たって別れろよ、縺れるなら俺が」


「すぐには無理です……他にも色々とあるし」


「そうだな、ゆっくりでも良いから整理していってくれるか?何かあれば必ず相談しろよ?」


「……はい」



もう戻らなければ成らない時間だ
たくさんキスされて車で家の近くまで送ってもらった
まだ信じられない



「一華の気持ちは俺と同じ方向に向いてるって思ってるけど合ってるか?」



気持ちはすぐにでも「はい」と即答したい
けど、昨日とは180度違う現状を上手く処理出来ないでいる
返事に戸惑う私を見て車中キス……
「向いてろよ、一華」って切ない声で呼ばないで
嬉しいはずなのにずっと胸がズキズキしてる
待ちわびた結果なのにどうして……



「少し、考えさせてください」


「え?」



顔が見れない
声も怒っているように感じた
苛つかせてしまってるのかな
思い通りにならないから?
いつだって従わせてきたもんね
何があっても、あなたが全てだった
あなた色に染まっていた



「私自身の問題です、ちゃんと向き合わなければならない事ばかりだから……その、待っててください」


「……わかった」



ホっと胸を撫で下ろす
「信じてるぞ?」と念押しされて、頷く



「明島さんこそ、私で良いんですか?」


「言ったろ?一華以外欲しくないって」


「そっか……」


「願ったり叶ったりじゃないのか?こうなるように俺の気をいつも引いてただろ?俺はまんまと引っ掛かったわけだ」




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