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微熱に疼く慕情

第9章 【歪んだ世界でも凛として…】






「何だよ、それだけじゃ不服か?結婚するか?」


「へ…?」


「俺だって初めてだよ、嫁にしたいって思ったの……お前だけだ」



ダメだ、全然頭回らない
現実味がなくてリアクションすら出来ずに居る



「一華?ちゃんと聞いてるか?」


「は、はい」


「もう他の男に会わなくて良い、俺だけにしろよ」



次第に視界が揺らいできたのは涙が溢れてきたから
「泣くなよ」って言われて気付いた
ポロポロと零れ落ちる涙を明島さんが拭ってくれる



「どうしたら泣き止むんだ?教えてくれよ……お前に泣かれるのが一番辛い」


「んぐっ……本当に良いの?私……私……っ」


「うん、今まで悪かった、試すような事たくさんして振り回してばっかだったな……お前を失うかも知れないってわかった時にようやく気付いたんだ、一華が欲しい、一華以外は要らないって」



ほ、本当に明島さんの言葉なの?
明島さんが私を…?嘘でしょ…?
だって、いつも手の届かない人だったよ?
私なんかが対等に付き合える人じゃなかったよ?
身体は愛してもらえても、
心までは愛してもらえないと思ってた
永遠の一方通行な愛なんだと……



「でも……明島さん、他の男にも抱いてもらえって」


「超絶、後悔してるよ」


「黒崎さんだって、明島さんが紹介してきたんじゃないですか」


「勝手だって百も承知だ……全部リセットさせてくれ、俺だけを、見てくれ、これからは」


「んっ……じゃあ、私、もう他の人に抱かれなくて良いの?」


「ああ、俺だけのモノになってくれるか?」



ずっと………ずっと聞きたかった言葉だ
もう一生聞けないと思ってた
一生、私は明島さんの玩具なんだって……
それでも一緒に居れるなら満足してた
見限られないように必死に食らいついて
ずっとずっとあなたに愛されてみたかった




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