
微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】
結局、会社に連絡するまで電源は切っていた
着けた途端にメッセージがドドド…と入ってくる
明島さんと黒崎さんからだったけど開けてない
連絡がつかない事に不審に思ったか、
大智や先輩からもたびたび連絡が入る
静かに電源を切って鞄に落とし入れた
電気もつけないでベッドの上……
何時間も天井を見上げたり
壁を見つめていたりした
インターホンも鳴っている
気が付いたらもう夜になっていた
時間の感覚がズレていく
こんな事は本当に初めてだ
お腹も空かないし水も飲めない
出るのは涙だけ……
手首や足首の痣が目に入るたびに溢れてしまう
もうわからなくなってしまった
あんなに怒らせてしまうなら隠し通せば良かった
いや、許すべきじゃなかったんだね
すまないって最後にメッセージがきていた
既読はつけないまま、まだ電源を落としている
直接ドアのインターホンも鳴った
先輩の声がした
「頼む、居るなら返事して」って聞こえた
2日連絡取れないだけで来ちゃうんだ…?
愛されてるね、私……
でももう、消えたい、私……
「バカヤロウ!!」
目が覚めたら明島さんに抱き締められていた
え……?此処、何処…?
あぁ、私の家か……
え?何で入って来たの?
抱きかかえられて
「病院連れていきます、すみません」と誰かに話してる
黒崎さんの姿も見えた
運転は黒崎さんで、後部座席に私と明島さん
嫌な予感がして来たみたい
管理人さんに事情を話して鍵を開けてもらったそうだ
抱き締める腕が少し震えてる
それなのに私を擦って「寒くないか?」って聞くの
上手く声が出なかった
「何も言わなくて良い」と抱き締められる
すぐに処置されて栄養失調の一歩手前だったと知らされる
2日経っただけだと思っていたら5日経っていた事にびっくりした
会社……ヤバい……クビかな
