
微熱に疼く慕情
第9章 【歪んだ世界でも凛として…】
「おーい、起きないと、旺志郎くん?」
「んん…っ、もうちょっと」
「起きてるな?」
「デヘヘ」
「起きないとキス出来ないなぁ〜」
「えっ!するする!」
あまりにも素直で、子供みたいだったから思わず笑っちゃった
酔っ払いのフリ?
ワンチャンあると思った?
あざといね
タクシー来ないね?
まだいっか、まだ一緒に居たいでしょ?
スマホでタクシー呼んであげる
待ってる間はまだデートの時間だから
頬に手を添えて私からキスするんだよ
股間押さえてどうしたの?
今日は本当にダメ
キスだけで終わらせて……
舌を絡めて唾液の糸引かせて、また絡め合う
デートの最後は引き際も肝心
次にうんと期待持たせて終わるの
一生懸命理性と闘ってる
まだしたいね、キス……
足、触っちゃダメ
止めた手を握り合い、キスに酔いしれた
タクシー来たよ
後ろ髪を引かれる思いで乗り込む旺志郎くん
ひらひらと手を振り、またね、と言った
見えなくなるまで見送って、
向こうも後ろを振り向いてバイバイしてた
間もなく到着する一台の車
静かに後部座席に乗り込む私
バックミラー越しに目が合う
微笑む前に隣から手が伸びて激しく唇を奪われるのだ
なす術もない感じ
わかってて嵌りに行くんだけど
「デート現場まで迎えに来いって本当に悪いオンナだな?」
「さっきの、嫉妬しました?」
「しねぇよ、嫉妬するのはベッドの上でな?」
本気でこの瞳が好き……いつもギラギラしてる
私を愛してやまない、
また私も愛してやまない、相思相愛な人
運転席からの視線も感じながら再び唇を重ねる2人
「んふふ、愉しみ」
肩を抱かれて走り出す車内でも、野獣と化していく明島さんのキスに自ら溺れにいく
黒崎さんの視線にも濡れていきながら……
