
微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】
自業自得………わかってる
自分で蒔いた種だもの
こんな事になる…までは想定出来なかった私がバカなだけ
お仕置きして欲しかったのに
途中まで身体は疼いてたのに
キャパオーバーすると拒絶しちゃうんだね
何度も失神させられてたのに
一気にそれが無理になった
「お客さん、大丈夫?着きましたよ?」
後部座席のドアが開いて「立てる?」と聞かれた
何とかお金は払ってたみたい
「心配だから家まで送るよ」って支えてもらう
優しそうなおじさん
「結構飲んだの?」
そう聞かれても上手く返事出来ない
よくキャバ嬢とか送迎してるみたい
私もそうだと思われてるのかな
部屋番号知られちゃうけどまぁ良いか
支えてもらわなきゃ私も歩けないし……
「しっかりしなよ?こっちかな?あともう少しだから頑張って」
「ん………はい」
丁寧で優しい対応にまた泣けてきちゃう
「何があったか知らないけどさ、今日はゆっくり寝て明日は美味しいもの食べなよ、自分にご褒美あげちゃいな?ほら、名刺渡しとくからさ、電話くれたら美味しいご飯屋さん教えてあげるよ」
泣きじゃくった顔だけど、ようやく運転手さんの顔をちゃんと見た
本当、人柄が出てる優しい顔にフッと笑った
「べっぴんさんだね」と言われて涙は止まる
玄関まで運んでくれて本当に感謝しかない
ほとんど支えてくれてたから体力使っただろうな
「ちゃんと布団で寝るんだよ?後、おじさん出てったら鍵閉めるの忘れないように」
「ん……ありがとう…ござい…ま…っ」
「おおっと…!危ない、此処で倒れたら危ないよ、頭ぶつけちゃうかもだから」
咄嗟とは言え、腰を持たれたらスイッチ入っちゃう
運転手さんの方に身体が傾いちゃって……
胸を借りる事に……ほんのりおじさんの加齢臭もする
タクシーの独特なあの香り
