
微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】
ドライヤーを取られて、髪を乾かし始めた先輩
温風を当てられ素直に従っちゃう
大智だと適当に当てられちゃうけど、
先輩はいつも綺麗に乾くまでしてくれた
髪が乾ききって、ドライヤーまで直してくれる
恐る恐る目が合うと優しく微笑んでくれるの
「一華、こんなの歪んでて普通なら有り得ない世界なのかも知れないけど、俺は、一華を失うくらいなら受け入れてみようかと思う」
「え…?受け入れるって…?」
「さっきの一華だよ……」
ちょっと待って……マジで言ってる?
さっきの私って寝取られてる時の私って事だよね?
「悔しいけど、俺には見せない顔してた……凄く綺麗だった……またその顔が見たいって思う俺はおかしいのかな?」
此処からは多分、演技云々じゃない、素の自分で居たと思う
思わず手を伸ばして先輩の頬を包みこんだ
「おかしいって……ダメだよ、先輩はこっち来ちゃ……ううん、私が連れてきちゃったんだよね、ごめんね……ごめんなさい」
此処で泣くのはズルすぎるってわかってるのに溢れちゃう
先輩の気持ち、散々振り回しておいて、最後は泣いて拒絶するんだもん
こんな最低な事してるのにそれさえ受け入れようとしてくる
好きな気持ちだけじゃそこまで出来ないでしょ……
無理に乗り越えようとしないで
早めに切り替えてよ
私が抱き締めてしまう前に……
「俺の方こそごめん……あんな一華を見て興奮して…勃起して……俺のなのにって思うのに頭から離れないよ」
「うん……うん……もう充分だよ、ありがとう」
溢れる涙を拭ってくれる
「一華こそ、俺を見限らないで」
いつの間に、此処まで来ちゃったの……
伸ばした手が先輩を包み込む
これで受け入れられたとは思ってないけど
先輩はきっと宣言した通り受け入れちゃうよ
私が止めないと…なのに
