
微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】
「俺は嫌だよ、一華だけは手放したくない」
「ねぇ、冷静になって?よく考えて?他人に股開く女だよ?この辺で見限っておかないと……先輩が壊れちゃう」
わざと、名前で呼ばなかった
元の関係に戻りましょう
一方的で身勝手で恩知らずな私を蔑んでよ
背を向けたのに後ろから抱き着いて離れない
「見限らないよ……俺の傍に居てよ……俺の事、嫌いになった?」
そう聞かれてすぐに答えられないのもズルさ…だよね
「なぁ、一華……お願い、離れるなんて言わないで」
「無理…でしょ?今、離れないともう…」
「何で別れる選択肢しかないんだよ、2人で考えようよ、これからの事は…」
「………無理」
「何で?俺と一緒に居るの無理なの?」
あぁ……此処で泣いちゃうんだ、ズルいよなぁ、
感情をコントロールしてるはずなのに
自然と涙が込み上がって肩を震わせる事も出来るんだよ
「……嫌われたくないから、お願い、もう終わり」
「嫌わないよ!これからもずっと!わかってるだろ、俺がどれだけ一華に惚れ込んでるか……お願いだからそんな事言わないで?全部、受け止めるから」
「出てって……お願い」
離れようにも腕掴まれて離れられない
涙目で見上げてしまった
「好きだよ、一華」
近付いてくる顔、拒んだのに顎クイされて捕まった……
こんな時のキスほど悲しいものはないよねって思うけど、あともう一押しなのかなって考える女だよ?
絡んでくる舌も拒めないの……
「一華だけが、悪くないでしょ?」
「え…?」
「俺だって悪い……」
そっちの思考なんだ……?珍しい
「俺も……興奮してた、ごめん」
腰に巻いてるバスタオル、目のやり場に困るよ
今、勃起するのは反則……
