テキストサイズ

微熱に疼く慕情

第6章 【耽溺していく欲情】






「送らないで……今日は俺が一華ちゃんを独り占めしたい」



何も馬鹿正直になる必要はない
誰にだって秘密はある
言えない事の方が多い
こんなの、騙し合いでしかないのに………



文字を消して電源を落とした
それで全部伝わりますか…?
強引にキスされるの、嫌じゃないです
この後のセックスに期待しちゃう



「じゃあ……どんな夢、見せてくれるんですか?」



今からの時間は夢だと例えた
再び走り出した車内でずっと手を握られていた
明島さんに並ぶくらいのスイートルームで
服を脱がされていく
夜景が一望出来るベッドルームで下着姿になって
押し倒される



ネクタイを解いて無造作に投げ捨てる
抱き締めながらキスをして
「会いたかった……何ですぐ会いに来なかったの?」とシャツのボタンを外しながら言う



「もう会いに行かない方が良いんじゃないかって思ってた……」



そう言われて手が止まる
頬に触れてきた手が目尻に溜まる涙を拭うの
あぁ……やっぱり
私は誰かが去っていく事に耐えられないんだ
好きで居て欲しいなんて都合の良い事ばかり
考えて、どうしようもない傷だけを増やしてく
いつか見捨てられるのは私の方で………
それが嫌で繋ぎ止めてしまう



「どうして……そんな事、言うの?」


「でも無理だったんだよ、忘れられる訳がなかった、気付いたらマンションに行ってた、ダメだって言われてたのに今日は会えるんじゃないかって……ごめん、もう二度としないよ、冷静になれなくてごめん」



私の手が止まるから黒崎さんが途中からボタンを外してくれる
鍛え上げられた上半身を見て指を這わせる



「今は……冷静にならないでください、2人を邪魔するものは何もないですから」



理性の糸をプツッと切るのは簡単なんだよ
今の黒崎さんは私に勝てるはずないから……







ストーリーメニュー

TOPTOPへ